Apple WatchでiBeaconを活用するブリティッシュ・エアウェイズ | ITジャーナリスト・鈴木淳也


4月24日に9ヶ国で一斉発売となる「Apple Watch」だが、同デバイス登場に向けて専用アプリ提供を表明するメーカーやサービス事業者がすでに名乗りを挙げている。中にはフライング気味ではあるものの、すでに最新のiPhoneアプリ向けアップデートにおいてApple Watch対応がうたわれているものが存在しており、その対応状況の一端がうかがえる。今回注目するのは、このようにフライング気味に公表されている情報の中でも、Apple WatchでiBeaconを活用した事例だ。
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Apple Watch対応を進める航空各社

Apple Watchについては価格やデザイン、その機能性やバッテリ持続時間などさまざまな議論が存在するが、これまで登場した「スマートウォッチ」と呼ばれるカテゴリの製品の中でも最も注目され、さらにマニア向けガジェットの域を出なかった同デバイスがより一般層に浸透するきっかけの1つになるということに異論を出す人は少ないだろう。とはいえ、スマートウォッチという商品自体の方向性がまだ定まっておらず、アプリを提供するApple自身を含むサードパーティ各社ともにApple Watchの活用方法を模索している段階だ。こうしたなかで、まずその有用性に着目したのが航空会社だといえるかもしれない。

4月24日より日本を含む9ヶ国での販売がスタートするApple Watch

4月24日より日本を含む9ヶ国での販売がスタートするApple Watch



こうした航空各社のApple Watch対応状況についてはMacObserverのまとめが詳しい(http://www.macobserver.com/tmo/article/which-airlines-are-supporting-apple-watch)。アメリカン航空、デルタ航空、ユナイテッド航空など米系大手3社のほか、新技術への対応を積極的に行っているエミレーツ航空、そのほかエアカナダやカンタス航空などが対応を表明している。一方でLCCなどと呼ばれる格安系の対応は割れており、サウスウェスト航空、フロンティア航空、バージンアメリカ航空は対応計画は現状でなしと説明しているのに対し、JetBlueでは対応を表明している。大手ほどApple Watch対応に積極的という構図が浮かび上がってくる。

これら航空会社のApple Watch活用方法はさまざまだが、主に次のフライト情報や最新アップデート(ゲート番号や変更後のフライト時間)の通知のほか、場合によってはPassbookを活用しての搭乗券表示など、Appleが提案しているApple Watchの活用方法のほぼリファレンスに沿った実装を行っているようだ。基本的に、よほど時間に余裕を持って動かない限り、空港では乗り換えを含め目まぐるしく変化する最新情報に翻弄されることが多い。いちいちiPhoneをポケットやカバンから取り出してロック解除動作を行わずとも、腕時計に最新情報が逐次表示され、適切な案内がなされるのであれば、便利だと感じる人も少なくないだろう。

iBeaconを活用するブリティッシュ・エアウェイズ、将来的にはナビに期待

一連の航空会社のApple Watch対応で注目するのがブリティッシュ・エアウェイズ(BA)の事例だ。MacRumorsなどによれば(http://www.macrumors.com/2015/03/19/airlines-upcoming-apple-watch-apps/)、BAでは英ロンドンにあるヒースロー空港のターミナル3/5において、iBeaconによるApple Watchへの「Welcomeメッセージ」配信を行う仕組みを用意しているという。詳細は不明だが、同社ではApple Watch用アプリも用意しており、このWelcomeメッセージをトリガーにアプリを起動できるような仕組みにしているのだろうと考えられる。Watchアプリには単体でのチェックイン機能のほか、フライト通知、ゲートへの誘導といった機能が組み込まれており、おそらく空港で最低限必要となる情報は一通り用意されていると考えていい。

BAのApple Watch対応状況については、同社のページにまとめられている(http://www.britishairways.com/en-us/information/ba-on-your-mobile)。AppleのApp Storeで3月26日に公開された「British Airways」アプリ(https://itunes.apple.com/gb/app/british-airways/id284793089?mt=8)のVersion 5.8において、すでにApple Watch対応がうたわれており、先ほどの通知機能などの仕様が盛り込まれていることがコメント欄から確認できる。BA以外の航空各社も似たような機能を実装している可能性があり、航空会社のiBeaconとApple Watch活用の基本的な事例になるかもしれない。

英ロンドンにあるヒースロー空港のターミナル3

英ロンドンにあるヒースロー空港のターミナル3



ただ筆者としては、ターミナルに近付いたときに表示される単なるWelcomeメッセージだけではなく、もう少し踏み込んだiBeaconの活用を見てみたいところだ。ヒースロー空港は非常に入り組んだ構造をしており、免税店などが並ぶ休憩エリアと搭乗ゲートが非常に離れていたりする。筆者は同空港のターミナル3しか利用したことがないが、休憩エリアにはゲートまでの移動所要時間が表示されており、ゲートの待機エリアが開いたタイミングで移動時間を見計らいつつ速やかに移動を開始しなければならない。ゲートへの通路もいくつか分岐しており、こうした移動や時間に関する適切なナビゲーションが細かく提供されるならば、非常に便利だろう。幸い、こうした分岐地点や長い通路の途中にBeacon装置を置くことでアプリ側が移動時間を予測したり、間違った道に入った場合の警告なども可能だと考えられる。こうした空港の広い構内をBeaconで適切に誘導する仕組みの構築は少しずつ始まっており、ぜひ将来的なApple Watchを含むスマートウォッチの活用方法として検討してほしいところだ。

Apple WatchとiBeaconを活用すれば、空の旅ももう少し快適になる?

Apple WatchとiBeaconを活用すれば、空の旅ももう少し快適になる?



ライター・鈴木淳也/Junya Suzuki
NFC、モバイルペイメント、モバイルマーケティング周辺の技術やトレンドを中心に活動を続けるITジャーナリスト。カンファレンスや展示会、展開事例の取材や調査のために世界中を巡る。アスキー(現KADOKAWA)で月刊誌編集に携わった後、アットマークアイティ(@IT、現アイティメディア)の立ち上げに参画。2002年の渡米を機に独立し、以後はフリーランスとして活動を続けている。