iBeaconとiOSアプリの連動ソリューションを体験して感じたこと | ITジャーナリスト・鈴木淳也


4月末〜5月初旬まで、日本ではゴールデンウィークでひとときの休暇を満喫されていた方々も多いかもしれないが、筆者は同期間のまるまる2週間を米国出張で過ごし、サンフランシスコとワシントンDCの2都市を取材で駆け回っていた。1月以来久々の渡米となるが、旅の過程で米国でのBeacon設置状況に触れる機会があったので、ここに紹介する。

間もなく2016年に開催される大統領選挙の予備選に突入するが、米連邦議会議事堂は大イベントを前に修繕工事中

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2週間の渡米を経てiBeacon体験で感じたこと

iOS 7が正式デビューした2013年9月以降、1年半近くにわたって世界各地のBeacon設置状況やサービス状況をウォッチし続けているが、実際のところ「思ったほどBeaconサービスに出会う機会がない」というのが現状だ。百貨店のMacy’sやMLB球場など、明らかにスマートフォンでBeaconを受信可能なエリアこそ認識しているものの、普段街の中心部を歩く範囲で“明確にサービスを提供しているとみられる”Beacon装置に巡り会う機会はなかなかない。Beacon信号を受信可能なアプリをこまめに立ち上げて“探索”してみても、明確に道や施設内を歩く一般ユーザーにBeaconを介したサービスを提供しているとみられる信号をキャッチするのは難しい。

ところが今回の4月の渡米では、ごくわずかながらiOSとBeacon(iBeacon)が連動する事例を見かけることができた。空港の特定のエリアやゲートに近付くと、手持ちのiPhoneのロック画面左下に筆者が使っているデルタ航空アプリ「FlyDelta」のアイコンが出現し、これを上方向にスワイプしてTouch IDまたはパスコードでロックを解除すると、FlyDeltaアプリが開く仕組みになっている。

デルタ航空の場合、就航先となっている成田空港をはじめ複数の空港でiBeaconが設置されている。iBeaconで反応するスポットはいくつかあり、例えばサンフランシスコ国際空港の場合は建物の入り口付近とチェックインカウンター、各搭乗ゲートあたりがポイントとなっている

デルタ航空の場合、就航先となっている成田空港をはじめ複数の空港でiBeaconが設置されている。iBeaconで反応するスポットはいくつかあり、例えばサンフランシスコ国際空港の場合は建物の入り口付近とチェックインカウンター、各搭乗ゲートあたりがポイントとなっている


事前にオンラインチェックインしてPassbookに搭乗券を登録していた場合、写真のようにPassbookの通知サービスとiBeaconによるアプリ連動アイコンが同時に出現することになる。iBeacon連動でアプリを起動した場合には、デフォルトではアプリのトップページ(FlyDeltaアプリの場合はマイレージ会員情報)が表示されるため、搭乗券の取得には最低でも2〜3タップは操作が必要となる

事前にオンラインチェックインしてPassbookに搭乗券を登録していた場合、写真のようにPassbookの通知サービスとiBeaconによるアプリ連動アイコンが同時に出現することになる。iBeacon連動でアプリを起動した場合には、デフォルトではアプリのトップページ(FlyDeltaアプリの場合はマイレージ会員情報)が表示されるため、搭乗券の取得には最低でも2〜3タップは操作が必要となる



このロック画面をご覧いただくとわかるが、FlyDeltaではQRコードの搭乗券を取得するとPassbookに登録することが可能で、飛行機搭乗時間の数時間前にはその旨の通知がロック画面上で行われ、これを右方向にスワイプすることでロック解除なしにPassbookの搭乗券が表示できるようになっている。素早く搭乗券を取り出すための工夫だが、iBeaconで反応するFlyDeltaアプリのアイコンをスワイプするだけではPassbookの搭乗券を開かず、アプリそのものを開いてしまうため、実際に搭乗券を取得するまでに少しだけ煩雑な手順を要する(デフォルトページの場合は数画面ほど遷移が必要)。オンラインチェックイン動作やフライト状況の確認にはいいものの、iBeacon連動にもう一工夫必要かもしれないという感想を抱いた。

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同様の話はStarbucks Coffeeにもいえる。同社も全米各地にあるコーヒーストアでiBeacon装置を設置してアプリ連動の仕組みを提供しており、街を歩いているとお馴染みのStarbucksアイコンがロック画面左下に出現する。ロック解除するとStarbucksアプリの画面が開くが、筆者はStarbucksアプリのアップデート後にしばらく同アプリを利用しておらず、同アプリから登録可能なPassbook上のStarbucks Rewardsカードを主に使っている。ゆえに「おっ、Starbucksアイコンが反応している」と喜び勇んでiPhoneのロック解除を行うと、Passbookではなく画面のようなログインを促すメッセージが表示されたりする。

StarbucksもiBeacon連動サービスを提供されているが、この場合に開くのはアプリであってPassbookではないため、筆者のようにPassbook利用がメインの場合にはいまひとつ使い勝手が悪い

StarbucksもiBeacon連動サービスを提供されているが、この場合に開くのはアプリであってPassbookではないため、筆者のようにPassbook利用がメインの場合にはいまひとつ使い勝手が悪い



今回はPassbookが利用できるアプリが中心で、しかも実際の利用シーンではアプリよりもPassbookを利用するケースが多いというもので、少々残念なユーザー体験になってしまった。このiBeaconに連動してロック画面から直接アプリを起動可能な仕組みはiOS 8の目玉機能ではあるものの、iBeaconに反応しているということは「すぐに支払いや会員カードを提示する必要がある」場所にいるというわけで、最初に表示する画面はそれに該当するものであってほしいと考える。

iBeaconとApple Watchの国内連動事例もJALから登場

先日、Beaconに対応してApple Watchで搭乗券の取得を可能なブリティッシュ・エアウェイズ(BA)の事例を紹介したが、日本でもApple Watch正式発売に合わせて実際にQRコードによる飛行機搭乗が可能なサービスが日本航空(JAL)から発表されている(http://press.jal.co.jp/ja/release/201504/003319.html)。

これはフライトまでの時間や運行状況を通知する「JAL Countdown」というアプリのApple Watch版で、ここで直接QRコードの搭乗券を取得可能だ。もちろんiPhone同様にApple WatchでもPassbookを利用可能だが、このJAL CountdownはiBeacon連動機能に対応しており、関連情報をリアルタイムで通知するよう構築されているという。JALによれば、主要13空港の保安検査場やチェックインカウンター付近にiBeacon装置を設置しているとのことで、ユーザー体験的にはPassbookに搭乗券を登録するよりも「JAL Countdown」でiBeacon連動しながら搭乗券を呼び出したほうが使い勝手がいいということだ。

日本航空(JAL)が提供するApple Watchによるチェックインサービス。iBeaconにも連動しており、空港の特定ポイントに来るとApple Watch内のアプリが反応してQRコードの搭乗券を表示できるようになっている

日本航空(JAL)が提供するApple Watchによるチェックインサービス。iBeaconにも連動しており、空港の特定ポイントに来るとApple Watch内のアプリが反応してQRコードの搭乗券を表示できるようになっている



ただし、空港ゲートの自動改札ではQRコードを読み取る装置は進行方向右側に設置されており、写真にもあるようにApple Watchを右腕につけるか、あるいは左腕を少しひねった状態でQRコードが認識されるように突き出す必要があるなど、一工夫必要な感じだ。ピタリとガラス面に合わせなくてはいいとはいえ、スマートフォンやスマートウォッチを使ったこの手のユーザー体験はまだまだ改良が必要なのかもしれない。