本当にBeaconはもう終わったのか?今後Beaconの導入が進むであろう5つのワケ


先日O2Oイノベーションラボ様にこんな記事が掲載されました。

「iBeacon(アイビーコン)はもう終わり!?導入が進まない5つのワケとは」

iBeaconの現状やなぜ日本で普及しないのか、またその具体的な問題点まで、有益な情報が詰まった記事です。しかし、果たしてBeaconはこのまま終わってしまうのでしょうか?記事内に出てきた懸念点などを交えながら考えていきましょう。

①BluetoothをONにしてもらうには?

iBeaconの信号は端末側(スマホなど)がBluetoothをONにしていないと受信できません。現状でいえば、何か使用する目的がない限り外出中にBluetoothをONにしている人は少ないでしょう。iBeaconを導入してもBluetoothをONにしている人がいなくては意味がありません。小売業者がiBeaconを導入しないのにはこういった背景があります。
1247-1 ではどうしたらユーザーはBluetoothをONにしてくれるのでしょうか?単純にいってしまえば、BluetoothをONにするだけのメリットを提供することです。ただこの「メリット」とはむやみにクーポンを配布することではありません。ユーザーサイドに立って考えると、自分が全く興味のないお店や商品のプッシュ通知は無意味なだけでなく「邪魔」です。そう思われてしまうとBluetoothをOFFにされてしまい、情報が届くことはありません。

これはiBeacon及びBeaconを導入するすべての企業が考えるべき課題です。例えばひとつの店舗がBeaconを導入していたとしても、ユーザーがわざわざそのお店の情報を受け取るだけのためにBluetoothをONにするとは考えにくいでしょう。仮にそうだとしたらそれはかなりのロイヤルカスタマーであるため、新規ユーザーとのタッチポイントにはなりえません。

これを解決するには、地域自治体や商業施設全体でBeaconを導入したケースから学ぶことでしょう。商店街や施設内に入った瞬間からBluetoothをONの状態に保ってもらえれば、そのお店のことを知らなかった人々にもプッシュ通知を送ることができます。また商店街や施設の場合、ナビゲーション機能やスタンプラリーなどの「メリット」を提供することができるのでBluetoothをONにしてもらいやすくなります。

また現在注目度が高まってきているウェアラブル端末はBluetoothを通じてスマホと連動しているケースがほとんどなので、ウェアラブルの普及に伴ってBluetoothをONにするハードルも下がってくることが期待されます。

【結論】
BluetoothをONにしてもらうには、地域・施設全体としてユーザーに「メリット」を提供する。
またウェアラブル端末の普及によってBluetoothを常にONにしているユーザーが増えることに期待が寄せられる。


②プッシュ通知は効果がないのか?

「スマホをカバンなどに入れているせいでメールや電話などの通知に気づかなかった」というのはよくあることですが、果たしてプッシュ通知には期待されるような効果がないのでしょうか?
1247-2 米inMarket社が実施した調査によれば、Beaconからオススメ商品の情報をプッシュ通知で受信したユーザーはその商品を手に取る可能性が19倍アップし、ほかにも店内でのアプリ使用率が16.5倍、お店を出てからもアプリをスマホに残す可能性が6.4倍アップしたそうです。

それ以外にも先日の記事(リンク)でも取り上げたとおり、米ジョージア州のマクドナルドでは商品の売り上げが8%増加し、Hillshire Brandsはブランド認知度が36%アップするなど、プッシュ通知の効果は確実に実証されてきています。

またアプリをダウンロードしたうえにBluetoothをONにしているということは、少なからずその店舗・施設がBeaconを使ってプッシュ通知を送っていることを知っていると考えられます。またナビゲーション機能を使っている場合は常にスマホを手に持っているはずなので、プッシュ通知に気づく可能性は高いといえるでしょう。さらにApple Watchなどのウェアラブル端末はスマホで受信した情報を通知してくれるので、プッシュ通知を見逃す確率がさらに減ると予想されます。

【結論】
プッシュ通知を送ることで購買やブランド認知度アップにつながることが実証されている。
BluetoothをONにしているユーザーはスマホに受信される情報に敏感になっている可能性が高い。


③顧客がアプリをダウンロードしないという課題は解決できたのか?

これまでBeacon普及の一番のネックと言われてきたアプリの問題。Beacon端末はそのコストの低さが魅力のひとつでしたが、これはあくまで既存のアプリがあるという前提での話で、一からやるとなるとまず自社サービス専用のアプリを開発するところから始めなければなりませんでした。
1247-3 しかしBeaconLaboではすでに何度か取り上げている通り、今後FacebookやTwitterなどの巨大プラットフォームがBeaconサービスを本格的にはじめれば「アプリをダウンロードしてもらう」というハードルがなくなります。

国内のユーザーだけを見てもFacebookとTwitterはそれぞれ2400万人と1980万人、またBeaconLaboでその可能性について取り上げたLINEは5200万人という膨大なユーザー数を誇ります。これらのプラットフォームがBeacon対応の機能を加えて事業者に配布しはじめたとすると、瞬く間に全国に普及することは容易に想像がつきます。事実、すでにFacebookは今年6月からアメリカでBeacon端末を無料で配布しており、今後どのように展開していくかに注目が集まっています。

ただこうした巨大プラットフォームを活用したBeacon施策は送る情報に制限がついたり、人流解析ができないなど、Beaconの持つポテンシャルをフルに活かせないという問題もあります。これはアプリ運営者側にかかっているので、今後Facebookほか、各プラットフォームがどんなBeaconサービスを展開していくのかに期待しましょう。

【結論】
巨大プラットフォームがBeaconを取り入れればアプリダウンロード問題は一気に解決する。ただ配信・取得できる情報に制限がかかる可能性があるため、ユニークなBeacon施策は生まれにくいかもしれない。


④プッシュ通知の乱用をいかに防ぐか

以前BeaconLaboでも取り上げたように(リンク)1つの店舗内で複数回プッシュ通知を送るとアプリ使用率が313%減少するという調査結果がでています。

これは前述したとおり、ユーザーにメリットを提供できていないことにほかなりません。
例えばナビゲーション機能のように、あくまでユーザーにとって便利な機能はむしろ喜ばれ、積極的に使われています。逆に商品の広告や割引きクーポンはただの押し付けがましいバラ撒きとみなされる可能性があり、アプリを削除されることもあります。

Beaconでのプッシュ通知は接客と全く一緒だと考えていいでしょう。お客様が入店した瞬間に店員がオススメの商品を無理やり押し付けてきたら煙たがれるように、プッシュ通知もあくまでお客様を手助けするツールとして最適なタイミングで送信できているかどうかがカギとなります。
1247-4 プッシュ通知が迷惑になっていないかどうかを知るためには、通知に対するエンゲージメントや店内でのアプリ使用率を見れば測定できます。ただ「邪魔」という印象を一度でも持たれてしまうとそれ以降アプリを使ってもらうためのハードルが一気に高まるため、一般客向けにサービスを始める前にテストを重ねることが重要です。

【結論】
プッシュ通知は諸刃の剣ではあるが、ユーザーにメリットが提供できれば絶大な効果を発揮する。
接客と同じように考え、過度なサービスで煙たがられていないかを常に心得る。


⑤iBeaconの情報を受信できるのはiPhoneだけではない

よくiBeaconとBeaconを混同する方がいますが、必ずしもすべてのBeaconがiBeaconだというワケではありません。

Beacon(ビーコン)とは周辺にBluetooth信号を発信し続ける技術の総称です。この信号が届く範囲内にスマホなどの受信端末が入ると、Beaconから端末側に「あなたの端末がBeacon信号を受信しました。クラウドに情報を送ってください」という指令が届き、そこからプッシュ通知や位置情報の取得など、これまでにBeaconLaboでご紹介したようなサービスが展開できます。

対してiBeaconとはApple社が商標登録している技術仕様およびシステムガイドラインで、いくつもあるBeaconの中でもこの規定をクリアしてAppleに認定されたものだけが「iBeacon」という名称で販売されています。

つまりiBeaconとして認定されていなくても、Bluetooth信号を発信し続けるBeaconはあるということです。例えばFacebook社が現在全米の小売業者に無料で提供しているFacebook BeaconはApple社の規定には則っていないため「iBeacon」ではありませんが、Bluetoothを発信しつづけているためiPhoneやAndroidのFacebookアプリとも連動します。

逆にiBeaconだからといってiPhoneでしか機能しない、というわけではありません。たとえば富士急ハイランドがこの夏展開しているiBeaconを活用した新アトラクション「富士急ハイランド×リアル鬼ごっこ 巨大遊園地からの逃走」はAndroidユーザーでも参加することができます。

【結論】
iBeaconもBeaconもスマホユーザーであれば誰でも利用できる(アプリをダウンロードしてBluetoothがONになっているという前提で)


Beaconが普及するのは時間の問題?

これまでも取り上げてきたとおり、Beacon普及の最大の壁は「アプリのダウンロード」と「Bluetooth」でした。しかし、現在アメリカで着実に進んでいる巨大プラットフォームの参入とウェアラブル端末の普及により、これらの壁がなくなるのも時間の問題ではないかと思われます。

特にFacebookが提供するBeacon対応サービス「Place Tips」が日本でも導入されれば、小売業者の間で瞬く間に広まることが期待されます。また、それに負けじとAppleやGoogleといったデバイス提供者もBeaconサービスに力を入れてくれば、BluetoothをONにしておくことが当たり前になるかもしれません。




【参考サイト】
O2Oイノベーションラボ – iBeacon(アイビーコン)はもう終わり!?導入が進まない5つのワケとは
inMarket: Beacons Increase App Usage, Retention, and Brand Engagement In-Store
7/11公開! 映画『リアル鬼ごっこ』公開記念イベント 巨大遊園地からの逃走


※Apple、iBeaconは、Apple Inc.の登録商標です。
※Facebook、Place Tipsは、Facebook,inc.の登録商標です。
※Google、Androidは、Google Inc.の商標または登録商標です
※Twitterは、Twitter,Inc.の登録商標です。