遂に米GoogleがBeaconオープンプラットフォーム「Eddystone」を発表 超巨大プラットフォームの本格参入で過熱するBeacon市場



米Googleは7月14日Beaconのオープンプラットフォーム「Eddystone」を公開したことを発表しました。これはAppleが2年前に導入し、今日のビーコン関連の取り組みにおける基盤となっているiBeaconの直接競合となるうえに、FacebookやTwitterを超える超巨大プラットフォームが本格的にBeacon市場に参入したことを意味し、さらなる業界発展を後押しする大きなトピックとなります。ここでは、この革新的なBeaconプラットフォーム「Eddystone」で何ができるのか?従来のBeaconとの違いについて考察していきます。

「Eddystone」はGoogleの独自性を活かしたBeaconプラットフォーム

出典:https://www.youtube.com/watch?t=68&v=s-4J7cijPAo

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Googleは「世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにすること」という使命を掲げています。もちろん、今回発表されたBeaconプラットフォーム「Eddystone」にもこの思想は反映されています。

Apple社のiBeaconは主にiOS端末(iPhone、iPadなど)ユーザーを対象した設計でしたが、「Eddystone」ではサービスをオープン化することでAndroid、iOSユーザー全てを包括した全てのスマホユーザーへBeaconを活用した情報発信が可能になりました。

BLEに対応したスマホやウェアラブルなどの端末と、至る所に設置されたBeacon端末を通信するための“Nearby API”を提供し、ユーザーは周辺のロケーション情報を取得できます。また、既存の“Google Places API”とも連携でき、例えばGoogleマップやGoogle+といった既存サービスで使用できるので、これによって「レストランに入ったらその店のメニューのカードを表示する」といったことも可能になります。

Beaconから「URL」によるプッシュ通知を可能に

出典:http://googledevelopers.blogspot.jp/2015/07/lighting-way-with-ble-beacons.html?m=1

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「Eddystone」で最も興味深いのは、Beaconからのプッシュ通知を「URLで発信可能」になったことです。これによってユーザーがスマホ端末に特定のアプリをインストールしていない状態でも、Webブラウザさえあればそこにキャンペーン情報などを通知できます。

ユーザーの多いFacebookが独自提供する「PlaceTips」によって、アプリをダウンロードしている人であれば誰でもプッシュ通知を受けとれることはBeaconLaboでもお伝えしましたが、Facebookのように日常的に使用するアプリは限定されており、アプリをダウンロードしてもらうことがBeacon業界にとって最大のハードルでした。
しかし、「Eddystone」の登場でそうしたアプリを制作することさえも必要がなくなり、従来のBeaconアプリの課題を解決する革新的なアイディアです。世界中の人々が実店舗においてもBeaconから発せられる情報に簡単にアクセスできるようになり、Beacon普及の起爆剤にもなりえます。

気をつけるべきはやはりプッシュ通知の乱用

BeaconでURLを送るという技術自体は他社でも開発されており、例えば富士通ネットワークソリューションズ株式会社から「FNETSビーコン(仮)」という製品もすでに発表されています(リンク)。現段階では送れる情報量にかなり制限があり、またその情報量の増加に伴う電池寿命の短縮や電力源の有無など、まだまだ考えるべき問題は多々ありますが、「アプリをダウンロードしなければ使えない」という問題点の解決が近づいてきたことは間違いありません。またそれと同時に、企業にとってBeaconを導入するハードルもグッと低くなったと言っていいでしょう。

ただこれでBeacon業界が一気に盛り上がるかというと、そうとも言い切れません。

URLを送る技術によってBeacon導入が進むことは容易に想像がつきますが、そのハードルが下がった反面、プッシュ通知の乱用でユーザーが欲しくもない情報を延々と受け取り、終いにはBluetoothをOFFにしてしまうということも十分にあります。

各企業は自社のサービス・商品を宣伝するためにURLを闇雲に全ユーザーに送ろうとするでしょう。「何人かにとって迷惑になろうと、自社サービスを利用してくれる可能性があるなら全員に情報を送りたい」という企業側の心理も理解できますが、これはいわば迷惑メールを延々と送り続ける行為と同じで、デバイスおよびブラウザ側でこれを制御するなんらかの施策がないとBeaconはただの迷惑デバイスとしてユーザーに敬遠されるでしょう。

例えばプッシュ通知が届いたら「この企業からの情報は今後受信しない」というオプションを加えたり、ユーザーのエンゲージメント率が高いプッシュ通知は優遇するなど、とにかくユーザーの迷惑になるような情報を送らないように仕向けるような施策やシステムを構築することが今後の課題となりそうです。

プラットフォーム界の巨大プレーヤー達がBeacon市場に出揃った

今回、IT産業を牽引する米Google社が「Eddystone」という強力な武器を引っさげてこのBeacon市場に本格参入するということは、同社が世界にインターネット検索を広めたように、世界中に一気にBeaconが普及していく可能性を秘めています。

またGoogleは、「Plaso」と呼ばれるBeaconを用いたモバイル決済の仕組みづくりにも着手しており、Appleの「Apple Pay」の対抗馬として今後の動向が注目されています。

今回のGoogle社の「Eddystone」発表でますます過熱していきそうなBeacon市場ですが、今後数年はFacebookとApple、そしてGoogleという3大プレイヤーの動向がBeacon業界を牽引していきそうです。そして、日本では国民的モンスターアプリ「LINE」がいつこの市場に参入してくるのか、Beacon市場から目が離せません。



※Apple、iBeaconは、Apple Inc.の登録商標です。
※Facebook、Place Tipsは、Facebook,inc.の登録商標です。
※Google、Androidは、Google Inc.の商標または登録商標です
※Twitterは、Twitter,Inc.の登録商標です。
※LINEは、LINE株式会社の商標または登録商標です。